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『駒場祭、ここを見ずには帰れない 編集部厳選、10の企画』より

 ことばがひらかれるとき 吃音者のリアルとは 

27日午後2時30分~3時30分@多目的ホール(駒場小空間)

 障がい者を扱う芸術は多くの感動を生んできた。一方で「障がいのある人は皆克服しようと頑張っている」などと一般化してしまう危険はないか。吃音のある学生が交流する「東大スタタリング」が披露するのは、吃音者間の葛藤に焦点を当て「吃音者のリアル」を描く演劇だ。

 舞台は吃音者が交流する互助団体。登場人物は「吃音を治したい」「吃音を持つ自分を受け入れる」など、それぞれ違う思いを抱える。吃音者の社会的・心理的な困難を具体的に描き、吃音者同士の対立も浮き彫りにする。代表の山田舜也さん(理学系・修士2年)は「吃音者とひとくくりにせず、個別の事情や悩みを持つ一人一人の姿を描きたい」と語る。今年2016年には、障害者差別解消法が施行された一方で障がい者を狙った殺傷事件が発生。「2016年に吃音者が何を考えていたのか、記録したいと考えたんです」と山田さん。

 練習で最も苦労したのは、吃音のない演技者へ吃音者の内面をどう伝えるかということ。「吃音の出にくい言葉へとっさに言い換える気持ち」を「地方出身者がとっさに方言を標準語に言い換える気持ち」と比喩で表現するなど、丁寧に思いを共有し劇を作っていく。

 「主題の一つは考えや背景の違う者の『対話』。まずは劇を作る中で対話を大事にしたい」

 題材は特殊だが「自分の弱さにどう向き合うか、異なる価値観を持つ人たちがいかに対話でつながれるか」という普遍的問題を描いた、と力を込める。障がいのリアルにとどまらない、「私たちのリアル」を感じるため劇場へ足を運びたい。

(2016年11月15日付『東京大学新聞』より)

『駒場祭、ここを見ずには帰れない 編集部厳選、10の企画』より

 ことばがひらかれるとき 吃音者のリアルとは 

27日午後2時30分~3時30分@多目的ホール(駒場小空間)

 障がい者を扱う芸術は多くの感動を生んできた。一方で「障がいのある人は皆克服しようと頑張っている」などと一般化してしまう危険はないか。吃音のある学生が交流する「東大スタタリング」が披露するのは、吃音者間の葛藤に焦点を当て「吃音者のリアル」を描く演劇だ。

 舞台は吃音者が交流する互助団体。登場人物は「吃音を治したい」「吃音を持つ自分を受け入れる」など、それぞれ違う思いを抱える。吃音者の社会的・心理的な困難を具体的に描き、吃音者同士の対立も浮き彫りにする。代表の山田舜也さん(理学系・修士2年)は「吃音者とひとくくりにせず、個別の事情や悩みを持つ一人一人の姿を描きたい」と語る。今年2016年には、障害者差別解消法が施行された一方で障がい者を狙った殺傷事件が発生。「2016年に吃音者が何を考えていたのか、記録したいと考えたんです」と山田さん。

 練習で最も苦労したのは、吃音のない演技者へ吃音者の内面をどう伝えるかということ。「吃音の出にくい言葉へとっさに言い換える気持ち」を「地方出身者がとっさに方言を標準語に言い換える気持ち」と比喩で表現するなど、丁寧に思いを共有し劇を作っていく。

 「主題の一つは考えや背景の違う者の『対話』。まずは劇を作る中で対話を大事にしたい」

 題材は特殊だが「自分の弱さにどう向き合うか、異なる価値観を持つ人たちがいかに対話でつながれるか」という普遍的問題を描いた、と力を込める。障がいのリアルにとどまらない、「私たちのリアル」を感じるため劇場へ足を運びたい。

2016年11月15日 『東京大学新聞』より)

『東大駒場祭 吃音のリアル、対話で描く』

 言葉が出にくい吃音(きつおん)を抱える学生のサークル「東京大学スタタリング」が27日、吃音をテーマにした対話劇「ことばがひらかれるとき」を、東大駒場キャンパス(東京都目黒区)で開かれる「駒場祭」で披露する。メンバーは「2016年の吃音者のリアルを描きたい」と意気込む。

 物語は、吃音者の集まりに参加する人たちが障害観や支援のあり方について議論し、互いを認め合っていくという筋書き。物語は吃音の大学生「石橋」が例会を訪れる場面から始まる。「き、き、き、今日は、よ、よろしくお願いします」。劇中人物の多くは吃音者なので、つっかえても一向に平気だ。

 昨春発足したサークルの名前は、英語で「どもること」を意味するstuttering(スタタリング)からつけた。代表で、今回の脚本を書いた山田舜也さん(25)=同大大学院修士2年=は「吃音は、当事者によって公的支援が必要な障害と考える人がいる一方、個性や話し方の特徴と受け止める人もいる。当事者同士が意見の食い違いで衝突することも少なくないので、今回の脚本は『対話』にこだわった」と解説。山田さんは「対話を通じて人間関係が変化する描写を心がけた。演劇を通じ、吃音者を取り巻く複雑な現実を社会に伝えたい」と話す。

 上演は27日午後2時半、東大駒場キャンパス内の「駒場小空間」で。

(2016年11月16日付『毎日新聞』より)

URL:http://mainichi.jp/articles/20161116/k00/00e/040/223000c

『「若者の恋愛離れ」を考える 「割に合わない嗜好品に」』

(2017年12月12日付『朝日新聞』より)

URL:http://www.asahi.com/articles/ASKCV64JLKCVUPQJ004.html

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